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企業価値評価における割引率算定に関する実務上の留意点

本セミナーは終了致しました。
受講区分 会場
開催日時 2011-02-09(水) 13:30~16:30
講師 株式会社プルータス・コンサルティング
代表取締役
グロービス経営大学院大学
客員准教授
野口 真人 氏

京都大学経済学部卒業。みずほ銀行(旧 富士銀行)、JPモルガン・チェース銀行を経て、ゴールドマン・サックス証券の外国為替部部長に就任。デリバティブが目新しかった時代から一貫して事業法人や大手機関投資家に対して運用手法をアドバイス、その間ユーロマネー誌によるアンケートにて3度最優秀デリバティブセールスに選ばれる。04年に株式会社プルータス・コンサルティングを設立。主な著書に『ストック・オプション会計と評価の実務』(税務研究会出版局)、『ストックオプション―儲けのレシピ』(同友館)、『種類株式・新株予約権の活用法と会計・税務』(中央経済社)、『戦略資本政策―新時代の新株予約権・種類株式活用法』(中央経済社)、『企業価値評価の実務Q&A』(中央経済社)。

概要 企業価値の評価手法の主流であるDCF法において、割引率は評価結果を大きく左右する重要な要素の一つである。割引率の算定手法は幾多の書籍で説明され、既に確立された感はあるが、割引率の推計モデル、とりわけ株主資本コストの推計に用いるCAPMの前提条件やパラメータの解釈については、必ずしも正確な理解が浸透しているとはいえず、公式の機械的な適用、根拠のないプレミアムの加算などによる不合理な算定事例が散見されるのが実情である。近時、株式買取請求を巡る裁判例など株式評価に係る紛争事例もみられるなか、こうした不合理な算定がもたらしうるリスクは大きく、正確な理解はますます重要であるといえよう。
このような現状に鑑み、本公演ではリスクフリーレート、β, リスクプレミアムなど、既に説明しつくされたかのようにもみえるパラメータの推計において、実務上陥りがちな誤った手法を例示し、割引率の推計モデルの背後にある現代ポートフォリオ理論やファイナンス理論の考え方との整合性を図る上で、どのような推計方法が望ましいかについて解説する。また、日本公認会計士協会が公表した研究報告「事例に見る企業価値評価上の論点」(平成22年7月22日付)では割引率、特に株主資本コストに関する論点が整理され、インカム・アプローチを採用した主要裁判例のひとつとして、講師らが株式鑑定に関与したカネボウ事例が挙げられているが、本研究報告にも言及するほか、ケーススタディ等を交え、現状の実務に即して具体的な解説を行うこととする。
セミナー詳細 1.イントロダクション
   (1)DCF法とWACC
   (2)株主資本コストの算定方法:CAPM

2.株主資本コストの算定
   (1)リスクフリーレート
     ・「リスクフリー」とは何か
     ・短期金利と長期金利のいずれを用いるか
     ・長期金利は長期であるほど望ましいか
     ・現在値と平均値のいずれを使うか
   (2)β
     ・βの解釈:単なるリスクの尺度ではなく「感応度」
     ・βの推計上の問題点:流動性とレバレッジ
     ・自社βと類似会社βのどちらを使うか
     ・新興企業のβには新興企業のβを使うべきか
     ・ヒストリカルβはどの程度正確なのか:数値例
   (3)エクイティ・リスクプレミアム
     ・ヒストリカル・リスクプレミアムの特徴と問題点
     ・インプライド・リスクプレミアムの特徴と問題点
     ・ヒストリカルとインプライドの折衷
     ・実務上採用される一般的なリスクプレミアムの水準
   (4)追加リスクプレミアム
     ・追加リスクプレミアムはなぜ生じるか
     ・サイズ・リスクプレミアムの推計方法
   (5)負債コスト
     ・格付けがない企業の負債コストの算定方法
     ・財務内容が悪化した企業の負債コストの算定方法
   (6)資本構成の見積もり
     ・目標資本構成の採用
     ・類似会社の資本構成を用いる際の留意点
     ・負債利用度が極端に高い場合における割引率の算定

3.「事例に見る企業価値評価上の論点」(日本公認会計士協会、平成22年7月22日)における割引率の考え方
   ・報告書の概要
   ・裁判例における割引率の算定-カネボウ事例

4.ケーススタディ

5.質疑応答/ディスカッション

【ストック・リサーチ経営研究セミナー】

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