<原則策定者が解説>金融庁「モデル・リスク管理に関する原則」の重要論点

~本邦金融機関の規模・業態に応じた態勢整備・高度化アプローチ~
受講区分 オンライン
開催日時 2023-04-26(水) 9:30~12:30
講師 有限責任あずさ監査法人
田中 康浩 氏 シニアマネジャー
(前金融庁監督局大手証券等モニタリング室 課長補佐)
秋場 良太 氏 ディレクター

【田中 康浩 氏】
(たなか やすひろ)
経歴:あずさ監査法人/KPMGの金融アドバイザリー事業部において、信用リスク、流動性リスク、モデル・リスクや気候変動リスク、再建計画・破綻処理準備態勢等の高度化に係るアドバイザリー業務を提供。2021年に金融庁監督局に出向。「モデル・リスク管理に関する原則」の策定に関与したほか、モデル・リスク、カウンターパーティ・リスク、再建計画・破綻処理準備態勢等のモニタリング業務を担当。2023年1月に帰任し、主に上記分野に係るアドバイザリー業務を提供。KPMGグローバルとのリエゾン機能も担う。

【秋場 良太 氏】
(あきば りょうた)
経歴:あずさ監査法人/KPMGの金融アドバイザリー事業部におけるデータアナリティクスサービスのリーダーを務め、大量データ解析・機械学習等を用いた分析サービスを開発・推進。データアナリティクスを活用したAML/CFT対応の高度化、融資審査に係るAIモデル開発、経営改善支援に資するAIモデル開発、大規模自然言語モデルを活用した業務高度化支援等に係るアドバイザリー業務を多数提供。

概要 金融庁は2021年11月に「モデル・リスクに関する原則」(以下、原則)を公表しました。米連邦準備制度(FRB)/米通貨監督庁(OCC)が策定したモデル・リスク管理 (MRM) に関する監督上のガイダンス(SR11-7)の公表から10年を経て、本邦大手金融機関でも、モデル・リスク管理が本格的に適用されることになります。しかし、モデル・リスク管理の態勢整備・高度化は、本邦ではまだ始まったばかりです。すなわち、モデルが金融業務のあらゆる場面で活用されていく以上、モデル・ライフサイクルの要所でガバナンス態勢を整備・高度化していく必要があると同時に、人工知能(AI)/機械学習(ML)の手法を用いたモデルやマネーロンダリング(AML)、気候変動モデルといった、新しいモデルの出現にも対応していく必要があります。こうしたことを背景に、今後も管理強度の高まりや管理対象モデルの増加が予想され、効果的・効率的なモデル・リスク管理が重要になると考えられます。
本セミナーでは、このように重要性が高まるモデル・リスク管理について、金融庁で原則の策定に関わった立場から、原則の詳細解説及び本邦金融機関の抱える課題や規模・業態に応じた態勢整備・高度化アプローチについて議論します。
具体的には、モデル・リスク管理にまつわる概念を整理した後、原則の詳細を、3つの重要な概念、8つの原則、パブコメに寄せられた質問とその回答に分けて解説します。その後、モデル・リスク管理で相当先を行く、米G-SIBsの先進的なプラクティスに触れ、本邦金融機関の参考となる事例を紹介します。次に、米国においてAI/MLの手法を用いたモデルが活用され、本邦でも注目度が高まっていることを踏まえ、AI/MLに係る本邦内外のガイドラインやAI/MLモデルの開発・検証事例に触れます。最後に、本邦金融機関の規模・業態に応じた態勢整備・高度化アプローチについて述べます。原則の適用対象先は本邦G-SIBs/D-SIBsですが、本セミナーでは、中小金融機関や保険会社といった原則の適用対象外の金融機関の態勢整備・高度化アプローチについても議論します。

【本セミナーで得られること】
・金融庁「モデル・リスク管理に関する原則」の詳細
・米G-SIBsのモデル・リスク管理に係る着眼点や先進的なプラクティス事例
・AMLや気候変動モデルの管理事例
・AI/MLに関連する本邦内外のガイドラインやAIモデルの管理のポイント
・モデル・リスク管理で本邦金融機関が抱える課題
・本邦大手金融機関/中小金融機関/保険会社の態勢整備・高度化アプローチ

【推奨対象】
銀行・証券会社・保険会社のリスク管理部門、モデル活用部門(DX推進部門、コンプライアンス部門、融資企画部門等)、内部監査部門の責任者・実務担当者
金融機関以外のモデル活用・管理部門の責任者・実務担当者
詳細 1.モデル・リスク管理にまつわる概念
(1)モデルと金融実務
(2)モデルやモデル・リスクの定義
(3)モデル・リスク管理における関係主体
(4)モデル・インベントリー
(5)モデル格付け
(6)モデル・ライフサイクル

2.金融庁「モデル・リスク管理に関する原則」
(1)本邦内外の動向
(2)金融庁の問題意識
(3)本邦内外のガイドライン比較
(4)「モデル・リスク管理に関する原則」詳細解説
 (a)適用対象先やモデルの範囲
 (b)3つの重要な概念(3つの防衛線、モデル・ライフサイクル、リスクベース・アプローチ)
 (c)8つの原則
(5)パブコメから読み解く重要論点(対象金融機関、モデルの範囲・定義、グローバル管理、モデル検証、独立性等)

3.米G-SIBsのモデル・リスク管理
(1)あらゆる金融実務の土台としてのモデル・リスク管理
(2)効率化の追求
 (a)モデル検証実務の効率化(アウトソーシングの活用)
 (b)テクノロジーの活用(モデル・インベントリーの高度化)
(3)更なる管理態勢の高度化
 (a)リスクが高いモデルの徹底的な管理
 (b)管理対象モデルの広がり(AMLや気候変動モデル等)
 (c)とりわけ重要性が高まるAI/MLモデルの活用・管理

4.人工知能(AI)/機械学習(ML)とは
(1)AI/MLとは ?
(2)過去のAIブームと近年のAIブームの違い
(3)伝統的なモデルとAIモデルの相違点
(4)AIに係るリスク顕在化事例

5.モデル・リスク管理におけるAIモデルの管理のポイント
(1)本邦内外の主要なAIガイドラインの概要と当局期待
(2)金融機関における主なAIモデルの活用と開発・検証事例
(3)AIモデル管理(AIリスクマネジメント)のポイント

6.本邦金融機関の規模・業態に応じた態勢整備・高度化アプローチ
(1)本邦金融機関が抱える一般的な課題
(2)原則適用対象先の大手金融機関(G-SIBs/D-SIBs)
(3)原則適用対象外の金融機関
 (a)大手金融機関
 (b)中小金融機関
 (c)保険会社
(4)本邦におけるモデル・リスク管理の発展に向けて

7.質疑応答
※事前質問がございます場合は、お申し込みフォーム「連絡事項欄」もしくは「お問い合わせフォーム」にて、ご連絡ください。
※ライブ配信当日にチャットからも、随時書き込んでいただけます。
お問合わせ 株式会社セミナーインフォ  セミナー運営事務局
TEL : 03-3239-6544   FAX : 03-3239-6545   E-mail : customer@seminar-info.jp