インサイダー取引規制や包括禁止規定に関する実質的判断基準 証券取引等監視委員会の動向や近時の判例等を交えて、課徴金等のリスク回避のために |
受講区分 | 会場 |
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開催日時 | 2009-05-29(金) 13:30~16:30 |
講師 |
長島・大野・常松法律事務所 垰 尚義 弁護士 92年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。同年司法試験合格。95年検事任官。00年検事を退官し、長島・大野・常松法律事務所入所。04年米国デューク大学ロースクール卒業(LL.M.)。同年ニューヨーク州司法試験合格。ニューヨーク州のSchiff Hardin法律事務所にて執務した後、07年1月から08年12月まで、証券取引等監視委員会事務局市場分析審査課にて課長補佐として執務し、インサイダー取引・株価操作案件の調査・分析に加え、非典型的・複合的な不公正・市場阻害的取引の調査・分析を行った。09年1月、長島・大野・常松法律事務所に復帰。 |
概要 | 金融商品取引法は、インサイダー取引を含め、証券市場の公正を害する行為(市場阻害行為)を幅広く禁止しているが、近年、市場阻害行為か否かを判断する際に実質的判断が重視される傾向がみられる。実質的判断は形式的判断に比べ、必ずしも明快な基準がないことに難点があるが、判断を誤ると、犯則・課徴金事件の調査対象となるリスクを否定できず、また、報道等によるレピュテーション上のリスクが生じる可能性もある。 本講演は、捜査・監視当局と民間での実務経験を有する講師の立場から、こうした実質的判断について、適時開示、自己株取得、M&A取引等の実務におけるリスク回避を念頭に検討を行い、より正確な理解を得ることを目的とするものである。 実質的判断は、これにより市場阻害行為の範囲が限定される場合もあれば、その逆もある。村上ファンド事件高裁判決は、形式犯といわれているインサイダー取引規制上の「決定」の有無について、実現可能性の程度等を考慮し、決定が投資者の投資判断に影響を及ぼし得る程度のものか否かという観点から実質的に判断されると判示し、インサイダー取引が成立する範囲を限定する解釈を示している。他方、包括禁止規定(不正の手段の禁止、風説の流布・偽計の禁止)はその包括性故に必ずしも十分活用されていないが、同判決からは、今後、実質的判断を根拠に包括禁止規定が活用され、摘発対象となる市場阻害行為の範囲が広がる可能性もうかがえる。 本講演では、実務上必須である、この「決定」に関する議論と課徴金事例・判例の正確な理解を目指し、それを整理した上、具体例も引用しながら、実質的判断基準と考慮される要素等について検討する。また、包括禁止規定との関係では、近年、証券取引等監視委員会が「直ちに法令違反と言えないような取引」も注視していることを併せ考えると、包括禁止規定の対象となる市場阻害行為に当たるか否かという実質的判断基準も十分に理解している必要があるため、具体例に基づき、その判断基準と考慮される要素等を検討することとする。 |
詳細 |
1.インサイダー取引規制における「決定」の有無について (1)議論と課徴金事例・判例の整理 (2)自己株取得、M&A取引等での留意点 (3)実質的判断基準と考慮される要素等 2.包括禁止規定について (1)風説の流布・偽計の禁止(158条) (2)不正の手段の禁止(157条1号) (3)具体例の検討 ①適時開示の遅延、②業績予想の修正、③事実と異なる適時開示、④記者発表等での言動、 ⑤自己株取得の公表、⑥TOB期間中の言動、⑦大幅な株式分割・株式併合、 ⑧インサイダー取引類似の取引、⑨ライブドア事件、⑩村上ファンド事件等 (4)市場阻害行為に関する実質的判断基準と考慮される要素等 3.質疑応答/ディスカッション 【ストック・リサーチ経営研究セミナー】 |
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